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あたまいっぱいの鹿のはなし:[5]January.2013-September. 赤木仁

二千九年一月から十二月までのお話はこちらです:1[ link ]

二千十年一月から十二月、前回までのお話はこちらです:2[ link ]

二千十一年一月から十二月、前回までのお話はこちらです:3[ link ]

二千十二年一月から十二月、前回までのお話はこちらです:4[ link ]

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右: ねえ おかしい
   花の色が変わったのが 現れた雲のせいで
   その影に入ったから だったら
   影の花がシロになるんだったらわかる
   けど どうしてずっと日なたの花が
   シロになるの
   変わるべきは影の中の花よ

ウ: あの雲は私達を守る為に現れたんです
   あのまま歩いていたら
   今頃はみんなクロになっていたでしょう
   そんなことになっていたら

右中: そんなことになっていたら

ウ:  行くべき所へ

右中: 行けないでしょ

ウ:  ええ

(一月)
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中:  黒水仙になってたら

右: どこへ行くの

ウ: そこはシラです
   あなたがたが行きたい所じゃありません
  
右: 今だって 行きたい所へ行ってない

中: (そこは どんな所なんだろう)


右: ねえ 影が薄くなってない

中:  雲も薄ぼんやりしてる 

ウ: いけない 急ぎましょう
   雲がなくなったら大変です 急いで
   でも急ぎすぎてもだめ
   少しづつ早足になって
   雲の影がついてこられるように加速するのです
   急に止まるのもだめです。

(二月)
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ウ: そうそう もう小走りでもいいですよ


右: あー ああ 大変
  水仙がみんな黄色になった

中:  僕らの影がない

ウ: 違います 全部影に入ったんですよ
  このあたり一帯が入る雲が
  空に浮かんでるでしょう


ウ: 着きましたよ
  なんとかまにあった

中: 僕らの雲は

右: あの小さな雲は

ウ: この頭上の大きな雲の一部に
   なったのでしょうね

(三月)
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中: 何だろう このニオイ
     
右: なんなの これ
  見て あそこだけ シラっとして ぼんやり

中: ニオイもあっちから来る
  あれはまずいんじゃない

右: まさか あそこへ行こうとしてるの
  だって白っぽいわ
  白水仙がいけないなら
  白っぽいのもだめでしょ

ウ: だめじゃないんです
  だって 廻りを見てごらんなさい
  特別に見える景色ではないでしょ
  どこにでも有る

中: あそこが目的地

ウ: はい そうです
  ああゆう所は そんなに遠くにはないんです
  ただ 特別な道を通らなけりゃ
  行けないようになっているだけです。

(四月)
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ウ: 白になりそうでならない 黄の中を
   来ることが出来たものだけが 見ることの出来る
   白っぽくかすんだ景色です。
   ささ行きましょう



ウ: 着きました

右: 着いた気がしない
   どこを見ても白っぽい

ウ: でも わかるでしょう
  きついニオイがどこから来るか

右: ええ

中: そっちへ向って行くのかい

ウ: ええ ええ そのとおりです
私達には ソレが出来るのですから

中: それじゃあ あっちだ  

(五月)
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右: あたし行かない

中: 急にどうして

右: どうして行くか 行かないか あなたが決めるの   
   あなたは後ろから 出てきたんじゃない
   あたしと左が どうするか決めていたのに
   左が繭頭になったからって
   そこのウサギリスとあんたで決めてる
     
ウ: あたくしは勧めるだけで決めごとには
   加わったことは ありませんです

右: だめだめだめ もうどこにも行かない

中: それじゃ 左にも聞いてみようか
  聞こえてるんでしょう

ウ: んー それはどうでしょう 聞こえてはいるでしょうが
   眠っているようですよ 話したいですか

中: ウサギさん ちょっと離れていて下さい

中と右は何かを話し合った

右: いいわ それで そうしましょう
   行きましょう

中: はい 行きましょう

(六月)
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中: ずいぶん きついニオイのする靄だねえ
   進むほど強くなる

ウ: 風下から入ってます 風上へ行く程
   濃くなりますでしょ こういったものは
   それに そろそろ 抜けます



ウ: ほら 抜けた   

目の前には 湯気を上げる無数の湯穴
狭い通路で 囲われた それほど大きくない
それぞれに大きさの違う 湯穴が
花弁の様に集まっている
手前の穴は地続きで
中心に向う程高くなり
温かそうな水が流れ落ちている
     
右: 水でできた小山のよう
   あの一番上まで行くの

ウ: いえ その必要はありません
   それにあそこまで行こうとしても
   段ごとに熱くなるので行き着けません

(八月)
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ウ: 一番手前の湯穴でいいのですよ  
   そこが目的地です

右: 行くべき先がこの穴なの

ウ: はい そこに入っていただきたいのです   
     
右: やさしく ひどい事を言うのね
   あんなに恐ろしげな穴へ入れと  

ウ: 左にあるその繭が 
   すっかり湯の中へ浸かってしまうまで 
   深く入っていただかないとなりません

中: そんな事をしたら 僕らの頭も
   すっかり浸かってしまうじゃない
  
ウ: いいえ 鼻先を上に向けて
   湯面から出してくだされば 大事ないですよ
   手前の湯穴はぬる湯ですし
   慣れてくれば気持ちも良くなりますから

   ただ これは
   一度きりの幾会とお思い下さい

   ささ ささ どうぞ どーぞ

(九月)
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(十月休み)

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(十一月休み)

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(十二月休み)

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二千十四年一月ページ:6につづく>>>

赤木仁オリジナルBOOKリスト
[作品集]:
「洪水の前」というこの本のタイトルはアンドレ・カイヤット監督1954年の映画からインスパイヤされました
これまでの赤木仁のオリジナル油彩やえんぴつデッサン、ドローイングなどが収録されています

[タイトル]:洪水の前 [画集]
[著者]:赤木仁
[装幀]:中島英樹
[出版社]:美術出版社 _2000/04/20 出版
[定価]:本体価格3000円
[単行本]: 103ページ
[I購入方法]:
※LIBRAIRIE6 / シス書店
librairie6.shop-pro.jp/
※有名オンラインショップ
※赤木仁個展会場
※webmagazinekimbou:on line store[>>>link]

[絵巻物語]:
[タイトル]:AZUCHI あたまいっぱいの鹿_ハードカバー
[著者]:赤木仁
[装幀]:有山達也
[出版社]:リトル・モア_2007/11/04 出版
[定価]:本体価格2000円
[仕様]:A5ヨコ変型/96ページ/上製

[I購入方法]:
※リトルモアブックス
www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=677
※LIBRAIRIE6 / シス書店
librairie6.shop-pro.jp/
※有名オンラインショップ
※赤木仁個展会場

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赤木仁プロフィール:
石川県生まれ。画家、金子國義に師事。88年に独立。展覧会での作品発表を中心とする。2014−2015年は、ヤマタノオロチを題材にした"2014年美連協大賞受賞展覧会「スサノヲの到来 −いのち、いかり、いのり」"で、足利市立美術館、DIC川村記念美術館、北海道立函館美術館、山寺芭蕉記念館、渋谷区立松濤美術館と5つの美術館を巡回した。2012年は、チャリティ広告展「日本繁昌大展覧会」でまねき猫のマークで参加している。初個展以来、10才までの銅山跡での体験を神話化した作品を描き続けている。他にも雑誌、新聞、単行本、Tシャツデザイン、マークデザインなど、色々な表現方法で活動中。作品集として画集「洪水の前」美術出版社が、またお話と絵を担当した絵巻物「AZUCHI あたまいっぱいの鹿」をリトルモアから出版、発売中。
お仕事御依頼お待ちしております
kimbou.lotus [ at ] gmail.com>>>